不動産投資と言えば不動産そのものの購入代金ばかりに意識が行きがちですが、不動産取得時に必要なお金は、物件や土地代だけではありません。不動産取得税や登録免許税、印紙税などの税金等も必要経費の一つです。

 中でも不動産取得税は、不動産を取得してからかなり時間が経った後に納税通知が届くために「忘れた頃に来る税金」と言われています。不動産取得税とは何でしょうか? 納税額や注意すべき点などの基本を押さえておきましょう。

納税通知は半年〜1年後、不動産取得税とは

不動産取得税とは、不動産を新たに取得したときに課される税金です。購入、贈与、建築などの取得形態に関わらず、個人も法人も、総じて都道府県への納税義務が発生します。ただし相続で不動産を得た時のみ、不動産取得税は免除されます。

不動産を取得したら通常60日以内(※)に、土地や家屋の所在地を管轄する都道府県税事務所に、その旨を申告しなければなりません。未登記物件を取得した場合も同様に申告が必要です。

申告と同様に、気を付けなければならないのは納税のタイミングです。不動産取得税の納税通知書が届くのは不動産の取得から約半年~1年後と、ずいぶん先の話になります。しっかり準備をしておかないと、通知書が届いてから慌てて資金をかき集めて回る、という事態にもなりかねません。まさに「忘れた頃に来る税金」なのです。

納期限や納税方法は都道府県によって異なりますが東京都の場合、納税方法は金融機関や都税事務所の他、ATM、コンビニ(30万円以下の場合)、ペイジー、クレジットカードなど、様々な支払い方法に対応しています。

もう一点、不動産取得税について気を付けなければならないのは、賃貸物件を新築した時です。この場合、不動産の取得日は賃貸物件の完成日ではなく、「借主が最初に使用した日」になります。一方で、同じ新築でも建売住宅の場合は、建売住宅を購入した日が取得日です。共に新築物件を取得しても取得日が違えば納税のタイミングも異なるので、納税期限に合わせてキャッシュをしっかり確保しておく必要があります。

賃貸の新築物件で完成日から6ヵ月経過しても貸付できなかった場合は、完成から6ヶ月後が取得日となることも押さえておきましょう。

※都道府県によって異なる。

不動産取得税の計算方法

では、気になる税額はどのように決められるのでしょうか? 不動産取得税は、固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額を元に計算され、購入金額や建設費などは加味されません。一般的に、建設費用や様々な手数料等が含まれる実際の購入費用よりも固定資産税評価額の方が低くなります。

不動産取得税の計算式

上の計算式のように「3%」が適用されるのは「平成33年3月31日までに取得した住宅」に限られます。それ以降、もしくは住宅以外を取得した場合は、「4%」の課税率となります。また、取得した不動産の土地部分は、「平成33年3月31日までに取得した宅地等」であれば、特例により固定資産税評価額を半分にすることが可能です。土地の登記簿謄本の地目欄が「宅地」となっていれば、特例が適用されると覚えておきましょう。

活用したい、免税・減税制度

先ほど紹介した計算式に基づくと、例えば固定資産税評価額1,300万円の建物なら不動産取得税は39万円。負担は決して小さくありません。しかし実は、不動産取得税には以下のような各種免税・減税制度があります。

・免税
固定資産税評価額が土地なら10万円以下、家屋なら23万円以下の場合

・減税
新築住宅で課税床面積が50平米以上240平米以下、マンションなど戸建以外の新築貸家住宅で課税床面積が1戸当たり40平米以上240平米以下の場合1,200万円の控除
上記新築住宅が認定長期優良住宅の場合1,300万円の控除
※認定長期優良住宅の減税は平成32年3月31日の取得分まで

減税制度について、もう少し詳しくみていきましょう。減税制度が適用された場合、本項の冒頭で挙げた「固定資産税評価額1,300万円の物件」にかかる不動産取得税がどのくらい変化するか、計算してみましょう。固定資産税評価額1,300万円で課税床面積が150平米(約45.4坪)、認定長期優良住宅ではない新築アパートを取得したとします。

【 不動産取得税 = (1,300万円-1,200万円) × 3% = 3万円 】

減税制度を活用すると、39万円から3万円。36万円の負担減ですから、非常に大きな違いですよね。適用条件を満たしているなら、絶対に利用したいところです。

ただし免税や控除を受けるには、不動産を所管する都道府県税事務所へ「不動産取得税課税標準の特例適用申告書」を提出する必要があります。不動産取得日から60日以内に提出しなければならないので、忘れないようにしましょう。

また中古住宅の場合、築年月によっては控除を受けられることもありますが、「個人が自己の居住用に取得した住宅であること」という条件があるので、投資用不動産の場合は控除を受けられません。

土地にかかる税金、減税額はどう計算する?

一方、土地の場合は計算方法が少し複雑になります。税額から以下の(A)と(B)のうち、いずれか高い方の金額が差し引かれるのです。

土地の場合、減税額はAかBのどちらか大きい方

つまり減税が適用される場合、土地にかかる税額は次の式で計算できます。

不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)ー控除額(AまたはBのうち大きい方)

例えば、固定資産税評価額1,500万円で土地面積180平米(約54.5坪)、課税床面積が150平米(約45.4坪)のアパートを新築した場合の「土地」にかかる不動産取得税を計算してみましょう。

まずは(B)の値を計算します。

【 (1,500万円 ÷ 180)×1/2(平成33年3月31日までに宅地等取得の場合) × (150 × 2) × 3% ≒ 37万5,000円 】

(A)4万5,000円に対し、今回は(B)の計算結果「約37万5,000円」の方が大きいので、約37万5,000円が土地の不動産取得税から軽減されます。

次に、土地に対する不動産取得税を公式(不動産取得税 = 不動産の固定資産税評価額 × 3%)から割り出しましょう。

【不動産取得税(減税適用前) = 1,500万円 × 1/2(平成33年3月31日までに取得した場合) × 3% = 22.5万円 】

そして、先に計算しておいた37万5,000円を差し引きます。

【不動産取得税 = 22.5万円 − 37.5万円 =  −15万円 】

マイナスになっていますね。つまり、このケースでは土地にかかる不動産取得税は「0円」になるのです。このように、免税・減税制度は不動産オーナーの負担を大きく軽減してくれるので、適用条件に合致する場合はぜひ活用してみてください。

突然の納税通知に慌てない! 堅実な不動産投資の進め方

不動産投資で成功するには、事前に必要な経費を全て洗い出した上で収益をシミュレーションしておくことが重要です。購入時にかかる費用だけでなく、月々のローンや管理費、各種税金、修繕費用や空室対策費用など予定外の出費も織り込んでおくと、より余裕のある不動産経営ができるのではないでしょうか。

はじめは大変に感じるかもしれませんが、事業家、投資家として自ら学ぶ姿勢は忘れないでおきたいものです。もちろん、どれだけ学んでも間違いは起こり得るので、適宜、不動産会社などの信頼できるプロにアドバイスを仰ぐのも良いでしょう。税金に関しては、所管の都道府県税事務所・支庁などに確認をとるとさらに安心です。

必要な支出や起こり得るリスクをあらかじめ押さえておけば、問題が起こってもスムーズに対処できる可能性が高まります。不動産取得後のシミュレーションもしっかりと行い、堅実に不動産投資を進めていきましょう。