居抜き物件の落とし穴
居抜き物件は意外とお金がかかること、ご存知ですか?
テレビや雑誌などで一度は耳にしたこともあるかもしれませんが、居抜き物件とは、以前入っていた店舗の内装・造作や什器等を、次の借主がそのまま引き継げる物件のことです。
居抜き物件のメリットは、店舗運営のための備品や設備等を新調する必要がないため、初期コストが安くできること。そして、店舗のベースが完成しているので、店舗オープンまでの期間を短縮できるのもメリットのひとつです。
安く済ませる上に営業に必要なものが揃っていて、開業までの期間も短い。まさにいいこと尽くめなので、条件を満たした物件があればすぐにでも進めたくなります。
ですがちょっと待ってください!
メリットばかりではなく、居抜き物件を選ぶデメリットもあります。
居抜き物件には意外な落とし穴も潜んでいるので、しっかりとポイントを押さえて物件を選ばないと、逆に初期投資費用が高くなり、居抜き物件ならではのメリットを充分に活かすことはできません。
居抜き物件を選ぶときに気を付けたい、チェック項目をまとめたので、居抜き物件選びの参考になればと思います。
居抜き選びチェックポイント
ガスや電気などの容量は足りているか
ガスや電気、水道などの容量が充分かどうかも確認しておきたいポイントのひとつ。
もし自分がやりたいお店のガスや電気、水道の使用容量が既存の設備で賄えない場合は、設備の新設や容量アップの工事が必要になってしまいます。
これは割と高い予算になってしまうので、逆に居抜き物件のデメリットになってしまいます。
ご自身でチェックするのが難しい場合は、内装業者などに確認してもらい、設備の新設や容量アップの工事が必要かどうか判断してもらってください。
厨房区画を変更しなくても済むか
飲食、レストランやカフェ、バーを居抜き物件で選ぶとき、まず厨房、キッチン周りをチェックしてください。
厨房区画を変更する場合、グリストラップ、ガス管、水道管など、数多くの設備を移設しなければならないため、一般的な工事よりも工事費がかさんでしまいます。事前に「厨房の位置は適切かどうか」「本当に変更する必要があるのか」しっかりと検討することが大切です。
厨房のサイズがイメージよりも大きかったり、店舗のイメージそぐわない場所にあったりするのであれば、居抜き物件よりも、スケルトンを選んで一からデザインしたほうが、理想の店舗内装が作れる上に、安く仕上がることもあります。
必要のない設備があったり、内装を大きく変えるのであれば、初めからすべて備わっている居抜き物件を選んでもデメリットしか残りません。
厨房機器などの設備は問題なく使えるか
居抜き物件のメリットのひとつでもある店舗に残されている厨房機器、これにもチェックが必要です。
まず前提として考えてほしいのは、居抜き物件に残された設備は“中古品”ということです。
「機器の性能・スペックが自店の業態に見合うか」
「きちんと動作するか」
「損傷はないか」
など、細かく確認してください。
その時は使用できたけど、3ヶ月後に動かなくなった…ということもよくあります。
年式が浅い物件であれば、そこまで心配するほどではありませんが、前のお店が年季の入った設備を使用しているのであれば、何年くらい使用したものなのか確認してもらってください。
自店のコンセプトを実現できる物件か
いくら居抜き物件で初期投資費用を抑えることができたとしても、開業後に売上が全然上がらなければ意味がありません。
居抜き物件で開業するときは、一度失敗したお店だということをしっかり頭に入れて、「その立地で集客は見込めるか」「通行人に発見されやすいか」「効率的なレイアウトになっているか」など、ビジネスの視点に徹して物件選び、店づくりをすることが重要です。
居抜き物件では大きなレイアウト変更はできないので、前店と同業種の場合は、いかにオリジナリティを出すかが課題になります。
前店に対する近所の評判は悪くないか
居抜き物件を選ぶとき、前店の評判を調べるのはとても大事です。
そんなこと当たり前だと思っている方もいらっしゃると思いますが、売り手としては、悪い評判はわざわざ言いたくないのが心情ですので、自身でリサーチする必要があります。
もし前店に対する近所の評判が悪かった場合、既存の設備とともに、その印象も引き継いでしまうデメリットがある為、近所に住まわれている方や不動産屋さんに尋ねてみるのもいいと思います。
業態によっては、オープンしてからの集客に響く場合がありますので、特に同業種の店舗をオープンする場合は注意が必要です。
居抜き物件のメリットばかりに気を取られていませんか?
大きな決断になる以上、しっかりデメリットも見極めてください。
メリットばかりではない居抜き物件ですが、しっかりと計画を考えた上で利用すれば、安いコストで、短い期間で開業できる魅力的な物件です。
居抜き物件、スケルトン、それぞれメリットとデメリットがあるので、どちらか一方にこだわるのではなく、自分のやりたいことや事業計画に合わせて使い分けて探してみてはいかがですか。
不動産と提携している設計業者なら、居抜き物件やスケルトン物件に限らず一般の市場に出る前の穴場物件から気に入る物件を探すこともできます。