グラフィックデザインと聞くと比較的新しい業界のように思われるかもしれませんが、実際には長い歴史がある仕事でもあります。数世紀にわたって変化を続け、そして数え切れないほどのデザイナーによって紡がれてきた歴史でもある。
この歴史的な業界に携わることを祝って、有名なデザイナーたちによる学びをまとめてみた。タイポグラフィや雑誌のデザイン、アルバムのカバーや政治的ポスターなど、その専門は様々ですが、いずれのデザイナーもその業界に何らかの爪痕を残した偉人ばかりです。
- 1 01. David Carson:ルールを破れ
- 2 02. Saul Bass:自分だと分かるようなデザインを
- 3 03. Stefan Sagmeister:刺激的要素を組み合わせる
- 4 04. Paula Scher:文字をビジュアルイメージとして使う
- 5 05. Michael Bierut:複雑な内容を分かりやすく
- 6 06. Massimo Vignelli:アイデアを伝える
- 7 07. Milton Glaser:見ることと理解することのギャップを埋める
- 8 08. Paul Rand:デザインと大量のコピー
- 9 09. Alan Fletcher:タイポグラフィで様々な表現を
- 10 10. Hermann Zapf:大きな変化を起こす
- 11 11. Lester Beall:問題を解決する
- 12 12. Claude Garamond:皆が使うものを作れ
- 13 13. Jan Tschichold:新たな技術に貪欲たれ
- 14 14. William Golden:草分け的存在となれ
- 15 15. Jacqueline Casey:強いメッセージ性とデザインを組み合わせる
- 16 16. Cipe Pineles:制限に縛られない
- 17 17. Susan Kare:デザインをテクノロジーへ
- 18 18. Abram Games:できるかぎり意味を伝えよ、ただし最小限の方法で
- 19 19. Armin Hofmann:コンテキストや意味とミニマリズムを融合せよ
- 20 20. Josef Muller-Brockmann:グリッドを活用せよ
- 21 21. Saymour Chwast:自身のデザインの原則を組み合わせよ
- 22 22. Chip Kidd:ビジュアルランゲージを極める
- 23 23. Alexey Brodovich:トレンドの実験
- 24 24. Herb Lubalin:洒落を効かせる
- 25 25. Max Miedinger:大きな変化を求める
- 26 26. April Greiman:新しい技術を求める
- 27 27. John Maeda:インタラクティブたれ
- 28 28. El Lissitzky:定型的な形や色を組み合わせる
- 29 29. Ladislav Sutnar:デザインを用いて情報を伝える
- 30 30. Alvin Lustig:語るな、ほのめかせ
- 31 31. Muriel Cooper:3Dデザインを実験してみる
- 32 32. Lucian Bernhard:ミニマリズムを極めよ
- 33 33. Otl Aicher:強烈なアイデンティティを
- 34 34. Erik Nitsche:パワフルなアイデアを伝える
- 35 35. Neville Brody:パンチの効いたユニークなセンスを
- 36 36. Ivan Chermayeff:抽象的な形でロゴをデザインする
- 37 37. Adrian Frutiger:美しく読みやすいフォントを作れ
- 38 38. Bradbury Thompson:全てを実験せよ
- 39 39. Peter Saville:大胆に表現せよ
- 40 40. Wolfgang Weingart:タイポグラフィで実験してみる
01. David Carson:ルールを破れ
グランジの創始者とも言われるDavid Carsonは、ユニークで型破りなやり方でデザイン業界を席巻し、革命を起こしました。胸を打ち、震えるような、少し歪んでいて時には読みやすさを考慮していないようなレイアウトのデザインは、今も世界中のデザイナーにインスピレーションを与えています。
02. Saul Bass:自分だと分かるようなデザインを
デザインの世界では知らない人が居ないとも言われるSaul Bassの作品は、きっとあなたも見たことがあるでしょう。そのデビューは1950年代、サイコなどの映画ポスターは特に有名です。
Bassは優れたロゴデザイナーでもあり、数え切れないほどのブランドマークをデザインしていて、そうしたブランドマークは平均して35年も残り続けています。例えばKleenexやGirl Scout、AT&Tのロゴは彼の作品です。
03. Stefan Sagmeister:刺激的要素を組み合わせる
成功を収めたコンテンポラリーなデザイナーであるStefan Sagmeisterは、ローリングストーンズやHBO、Guggenheimといった一流のクライアントを抱えています。その作品はユーモアやセクシャリティ、ときに邪道を感じさせるような要素や、細部まで気を配ったデザインを取り入れており、そのモダンなデザインは今でもデザイン業界の人々のインスピレーション源となっているのです。
04. Paula Scher:文字をビジュアルイメージとして使う
Paula Scherは、女性として初めてグラフィックデザイン会社であるPentagramの代表となった人物ですが、その躍進にはそれなりの理由がありました。彼女の作品にはグラフィックデザインにおける見え方や応用技がかたどられていて、特に文字をビジュアルイメージのようにして使うというのは現在のデザインに長く続く影響力を持った手法でもあったのです。
05. Michael Bierut:複雑な内容を分かりやすく
Michael Bierutは、グラフィックデザインに対して独特かつ一般的なアプローチを執ることで、『民主的デザイン』をすることで知られています。複雑な内容をもっと分かりやすく、かつ楽しんで読ませるように、一目で内容をすっきりと理解できるようにデザインする。これを意識していたのがMichael Bierutだったのです。
06. Massimo Vignelli:アイデアを伝える
過去一世紀において最も影響力のあったデザイナーのひとりであると数えられるMassimo Vignelliは自身を『情報建築家』であると称しており、膨大で雑多な内容を、デザインを通じてより消化しやすく分かりやすいフォーマットに落とし込むことに全力を注いでいます。例えば彼がニューヨークの地下鉄路線図を再デザインしたのが1972年でしたが、このとき初めて、実験的に、抽象的デザインの路線図が導入されたのです。もちろんこの試みは、後に大成功であることが分かります。
07. Milton Glaser:見ることと理解することのギャップを埋める
I ♥ NYのブランディング、TargetやJetBlueのロゴ、Mad Menの冒頭、Bob Dylanのポスターデザイン。その作者であるMilton Glaserは、その活動によって『パワフルで後に残るデザインを作る意味』を一変させてしまったと言えるでしょう。Glaserは、「そのデザインを一目見たその人に認識させるようにしましょう。見ることと理解することの間にある『認識』は、とても重要なのです」としています。
08. Paul Rand:デザインと大量のコピー
Paul Randはデザイン界のいわゆるビッグネームであり、広告やロゴ作成、デザインについて抜本的で新しいメソッドを作り出したことで有名です。中でも有名なのは、デザインの主要な要素としてコピーライティングを扱うのをやめ、デザインの他の要素と同じレベルで扱うことを始めたということでしょう。つまり、文字量をより単純化し、見る人とのインタラクションを形成できるようにしたのです。
09. Alan Fletcher:タイポグラフィで様々な表現を
グラフィックデザインのイギリスの父とされ、自身も刺激的なデザインの数々を生み出していることで知られているAlan Fletcherは、デザインというものがどういうものであるかという考え方そのものを変えてしまいました。彼の、印象派のようなタイポグラフィ、大胆な色使い、強めのビジュアルランゲージにより、グラフィックデザインはビジネスにとってとても重要な要素であり、ただのお飾りではないということが改めて記されたのです。
10. Hermann Zapf:大きな変化を起こす
Hermann Zapfは、様々な意味でタイポグラフィを変化させた人物です。第一に、彼はZapf DingbatsやPalantino、Optimaといったフォントの作成者であり、そして紙媒体からコンピュータ画面への移行を唱えてそのためのフォント開発の草分けとなった人物でもあるのです。しかし何よりも彼の偉業として大きいのは、後にソフトウェア開発者が多くを学ぶこととなる、植字プログラムを開発したことであると言えるでしょう。
11. Lester Beall:問題を解決する
Lester Beallは、前衛的なデザインに対する考え方と、デザインそのものに対する革命的なアプローチによってデザイン業界の人々に多く知られている人物です。アメリカのビジネス業界にグラフィックデザイナーがクリエイティブに問題解決を担うことができる人材であるということを知らしめ、事業のマーケティングにおいて重用されるべきであるということを示したのもこのBeallで、その考え方やパワフルで後世に残るようなデザインは今となっては現代デザイナーの基礎として確立されているほどとなっています。
12. Claude Garamond:皆が使うものを作れ
およそ1505年に生まれたとされるClaude Garamondは、印刷文字を専門とする最初のスペシャリストでした。代表的なフォントをいくつも生み出し、たとえばGaramondやGranjon、Sabonなどは今でも使われています。彼はフォントデザインについて草分けとなったのみならず、グラフィックデザイン業界に起こる進化の先駆けへの車輪を生み出したとも言えるでしょう。
13. Jan Tschichold:新たな技術に貪欲たれ
Jan Tschicholdは多作家で知られており、デザイン業界に様々な業績を残しています。TschicholdはDie Neue Typographieの著者としても知られ、その中で新たなタイポグラフィの基礎を確立し、紙のサイズの統一や、タイポグラフィのヒエラルキーにおけるガイドラインの画一化を推進しました。その多くは、今もなお有効な技術として継承されています。
Penguin Booksのカバーデザインをも手がけた彼は、新しいテクニックに向けて努力を重ねており、それを実践していくことで常に影響力のあるデザイナーとしてスポットライトを浴び続けることとなったのでした。
14. William Golden:草分け的存在となれ
第二次世界大戦後、グラフィックデザインの黎明期において、その方向性を定める役割を担った草分け的存在の華々しい重鎮の一人であるとAIGAに表されるWilliam Goldenは、大胆かつパンチの効いた仕事で業界に変化をもたらしました。また彼は、アーティストとデザイナーは別であると考えるべきだという考え方を推進し、これによりグラフィックデザイン業界がより個別の業界として認知されることに繋がったのです。
15. Jacqueline Casey:強いメッセージ性とデザインを組み合わせる
Jacqueline Caseyは、スイスに強くインスパイアされたポスターの制作者として知られています。彼女が一員であったMITコミュニティやアメリカを、新進気鋭のヨーロッパ的スイスタイポグラフィやデザインに導入したのは彼女の功績であり、これがよりコンテンポラリーなデザインに後々繋がることとなります。今でも彼女の作品は、クリーンで強力なデザインとパワフルでインパクトのあるメッセージを組み合わせることで何が生まれるのかという好例であるとされています。
16. Cipe Pineles:制限に縛られない
そのデザインのキャリアの中で、VogueやVanity Fair、Glamour、Seventeen、Charmなどの一流雑誌に携わってきた彼女は、多くの「初めて」を体験した人物でもあります。彼女はニューヨークのArt DirectorsClubの初の女性メンバーであり、雑誌に対する初の自立女性アートディレクターでもありました。また、初のデザイナーとして優れたアーティストを雇用し、マスマーケットにおける出版物をデザインしました。雑誌のデザイン業界の中でこれは長く続くトレンドとなり、雑誌デザイン業界の形成へと受け継がれていくことになります。
17. Susan Kare:デザインをテクノロジーへ
1980年代にAppleのマッキントッシュの一連のインターフェイスデザインを作成し、Steve JobsのNeXTにも携わったことで、Susan Kareはコンテンポラリーデザイナーとして多くのデザインを世の中に残すことに成功しました。MonacoのフォントやGenevaのフォント、また、AppleのキーボードのCommandキーのシンボルなどの他、ごみ箱のアイコン、保存アイコンのフロッピーディスクなど、なじみ深いデザインの多くがこのデザイナーの手によるものです。そのうちのいくつかは今も現役で使われており、そして多くはインターフェイスのデザインを考える上で大きな影響を与えています。
18. Abram Games:できるかぎり意味を伝えよ、ただし最小限の方法で

Abram Games
Abram Gamesは、パンチの効いた政治的ポスターデザインで有名な、第二次世界大戦時のオフィシャルアーティストでもあります。Gamesの作品は『最大の意味を、最小の方法で』という彼本人のモットーを表しているとして多くのデザイナーに影響を与えています。「メッセージやコミュニケーションを強力にする一方で、デザインはシンプルかつクリーンでダイレクトなものでなければならない」というそのモットーは、今も受け継がれているのです。
19. Armin Hofmann:コンテキストや意味とミニマリズムを融合せよ

19-arminhofmann
スイスデザインのレジェンドとして知られるArmin Hofmannは、そのパワフルでクリーンなデザインと、コンテキストや意味を踏まえたデザインの重要性を説く姿勢によって過去そして現在のデザイナーに影響力を与え続けています。Hofmannの作品は『これぞスイスデザイン』と感じられるものばかりで、効果的かつ後世に残るような、考え抜かれたデザインの好例として知られています。
20. Josef Muller-Brockmann:グリッドを活用せよ
おそらく、最も知られているスイスデザイナーのうちの独りでしょう。その作品には多くの『スイス的デザイン』の要素が用いられており、例えば幾何学的図形やクリーンなsans-serifフォント、躍動的な色使いはその代表です。しかし彼の仕事の中で最も注目されるべきは、グラフィックデザインという仕事の中でグリッドを活用したということでしょう。
21. Saymour Chwast:自身のデザインの原則を組み合わせよ
Seymour Chwastは、近代的(コンテンポラリー)なデザインやイラストの基礎を作り上げたデザイナーであるともされています。その印象派的で特徴的なスタイルは、ラジカルで遊び心のある要素と、クリーンでミニマリスト的な要素の融合でなりたっており、デザインに対するそのアプローチは、過去のスタイルやフォームの知識や正確さ、そして再応用によるものであるとされています。そのビジュアルな作品とユニークなアプローチは、グラフィックデザイン業界に長く続く影響力をもたらしているのです。
22. Chip Kidd:ビジュアルランゲージを極める
Chip Kiddは本の表紙のデザインを専門とする現代デザイナーであり、その作品は『アメリカの本作りというアートに革命をもたらした』とされています。本の表紙デザインに対するそのユニークなアプローチは、本の語りをビジュアルに体現することで成り立っており、本のデザインに対するこの抜本的な考え方によって等角を表した彼は、今でも人々の記憶に残るデザイナーとなっているのです。
23. Alexey Brodovich:トレンドの実験
Alexey Brodovichは、1920年代にヨーロッパのデザイントレンドをアメリカに導入する上で一役買ったデザイナーであり、この後、よりシンプルでモダンなデザインが新世代のデザイナーたちから生まれるきっかけとなりました。彼はこの他にも、写真やタイポグラフィ、レイアウトデザインといった面で新たなトレンドについて実験し、これによって彼が15年携わった雑誌、Harper’s Bazaarは一躍脚光を浴びることとなったのです。
24. Herb Lubalin:洒落を効かせる
Herb Lubalinは、タイポグラフィのデザインにおいてはよく知られた名前のうちのひとつです。Lubalin自身はそのデザインを『タイポグラフィクス』と呼んでおり、コピーライティングでは表現できないようなメッセージをビジュアルランゲージに落とし込むことで、洒落の効いたデザインとして、しかしより単純な形で表現しています。
25. Max Miedinger:大きな変化を求める
Max Miedingerは、スイスのフォントデザイナーであり、Helveticaの作者であると言えば知らない人はきっといないでしょう。Helveticaそれ自体がスイスデザインの好例であり、クリーンで読みやすく、多用途に用いることができて、serifもありません。Miedingerのスイスデザインの発展への貢献により、その後、更に大きな機運が生まれることとなったのはおそらくご存知の通りです。
26. April Greiman:新しい技術を求める
Greimanは、1980年代にグラフィックデザインにおいてテクノロジーを用いることを推奨し影響を与えた最初のデザイナーのうちのひとりであるとされています。Greimanが声をあげるまではコンピュータはただの情報処理ツールでしたが、彼女の声によって業界には革命が起こり、そしてもうコンピュータはなくてはならないものになっています。
27. John Maeda:インタラクティブたれ
グラフィックデザイン業界におけるコンピュータの利用ということであれば、John Maedaの存在も忘れられません。Maedaはその作品によって、あらゆる媒体の境界線を取り払い、デジタルとアナログの境目を曖昧にしてしまいました。これにより、インタラクティブなモーショングラフィックの開発においてMaedaの作品は基礎的なものとなり、モダンなグラフィックデザインの中で頻繁に用いられるものとなったのです。
28. El Lissitzky:定型的な形や色を組み合わせる
El Lissizkyはロシアのデザイナーで、定型的な形や色を用いることで効果的なビジュアルランゲージを実現した、政治におけるプロパガンダ的ポスターデザインの作者としてよく知られています。また同時に、最も革命的なグラフィックデザイナーやデザインのトレンドを生むこととなった学校であるBauhausの開発にも大きな影響を与えた人物でもあります。その作品は波紋を呼び、そして近代の多くのデザインにおける基礎の形成に繋がることとなりました。
29. Ladislav Sutnar:デザインを用いて情報を伝える
Ladislav Sutnarは、ナンセンスなものからデザインを通じて何らかの意味を伝えるということを得意としていたことで有名なデザイナーです。その専門は情報デザインで、分かりやすくクレバーなデザインを用いることで、情報をより分かりやすく、かつ見る人にとって理解しやすいものになるように提示することにありました。それを可能としているテクニックのひとつとして色やフォントの種類を制限するというものがあり、これは今でも有効なデザインのテクニックのうちのひとつです。
30. Alvin Lustig:語るな、ほのめかせ
Alvin Lustigは、ブックカバーデザインに対するアプローチやその見せ方、考え方というものを根本的に変えてしまったデザイナーです。当時、本の表紙を作ると言えば、それは本の内容を分かりやすく要約するということが重要だと考えられていました。しかしLustigは、『語るのではなくほのめかす』というアプローチを導入し、まずその本を読み、それからその本の語調に合わせて内容をビジュアルに捉えた表紙を作成するという手順を踏んだのです。当時にとってこのアプローチは革命的で、今のブックカバーデザインにおける慣習に多くの影響を与えることとなりました。
31. Muriel Cooper:3Dデザインを実験してみる
MITのグラフィックデザイナーであるMuriel Cooperは、コンピュータにおけるグラフィックデザインのパイオニアでもあります。そのキャリア全般において、Cooperはコンピュータを用いてビジュアル的な奥行きや動き、サイズの変更、フォーカスのシフト、3Dフォントなどを作成し、当時から独特のデザインとして一世を風靡することとなったのです。Muriel Cooperのこうしたデザインや開発は、現在のデジタルデザインの礎ともなっています。
32. Lucian Bernhard:ミニマリズムを極めよ
アール・ヌーヴォーが業界を席巻していたころ、Lucian Bernhardはよりミニマルな、一歩引いたアプローチをデザインに踏襲するべく、新たな道筋を示しました。アートディレクターとして働く一方で、単色でスローガンもなく、シンプルなイラストとロゴだけの広告を作成し、これが現代のデザインにも大きな影響を与えることになりました。
33. Otl Aicher:強烈なアイデンティティを
Otl Aicherは優れたグラフィックデザイナーであり、特に有名な作品として1972年のサマーオリンピックがあります。その作品の中ではピクトグラムを大胆に用いて躍動的な色使いを行い、グリッドを活用することで強烈な印象を残すことに成功しています。また、棒人間を活用した交通サインのデザインを作成したのもこのAicherです。
34. Erik Nitsche:パワフルなアイデアを伝える
その60年のキャリアにおいて、Erik Nitscheはデザインの世界に大きな影響を残してきました。デザインというものの要素を一通り学び、その上で自身の近代主義的な色を加えることで、その作品は多くのデザイナーにとってのインスピレーションの源泉となっただけでなく、商業的にアイデアを伝えるツールとしてのデザインの在り方をも示すことに繋がったのです。
35. Neville Brody:パンチの効いたユニークなセンスを
Neville Brodyは、ルールを縦横無尽に駆使し、時に破ることで、1980年代における雑誌や広告、アルバムカバー、パッケージングのデザインに革命を起こしました。パンクな機運をインスピレーションの源泉とし、一方で商業市場における制限をものともせず、Brodyはデザインについて遊び心を交えながら実践を重ね、パンチの効いたユニークなデザインを生み出すことに成功したのです。
36. Ivan Chermayeff:抽象的な形でロゴをデザインする

Ivan Charmayeff
様々な、パワフルで記憶に残る、そして歴史にも残るロゴを作成したことで、Ivan Chermayeffは伝説的なロゴデザイナーとして知られています。その秘密は、それまで当然とされていた文字の利用をやめ、より抽象的な図形をロゴの要素として用いたことにありました。
37. Adrian Frutiger:美しく読みやすいフォントを作れ

Adrian Frutiger
タイポグラフィック・デザイナーであるAdrian Frutigerは、デザイン業界においては伝説となっている人物です。その作品はWestminister Londonからディズニーの世界にまで、広く用いられています。
そのキャリアの中で、彼は頻繁にフォントの読みやすさと美しさの重要性について述べています。その理念を活かして作られた30以上のよく知られたフォントを含むその仕事ぶりについては、「彼はフォントについて彼が持つ美学を膨らませ、ひとつの体系にしている。その仕事に若いフォントデザイナーは影響を受け、自分なりの美学を育むことになる」とRoger Black(Font Brureauの創設者)が語っています。
38. Bradbury Thompson:全てを実験せよ

Bradbury Thomas
Bradbury Thompsonもまた、デザイン業界では『マスター・オブ・デザイン』と言われる人物です。そのスタイルを要約するなら、写真や色、フォントなど、あらゆるものを実験し、組み合わせ、切り取り、段階的に配置することで、印刷ページの限界を更に押し広げようとしている、と表現できるでしょう。
39. Peter Saville:大胆に表現せよ

Peter Saville
Joy DivisionのUnknown Pleasuresや、New Order、Roxy Musicなどの音楽業界の大物との共作によって知られるデザイナーであるPeter Savilleの特徴は、その大胆な印象派的スタイルです。これにより、アルバムのカバーに関する新たな基準が生まれたと言っても過言ではありません。
40. Wolfgang Weingart:タイポグラフィで実験してみる

Wolfgang Weingart
Wolfgang Weingartは、タイポグラフィの実験的使用によってデザイン業界とその歴史において重要人物であるとされています。実験的なスイスデザインとでも言うべきその作品には、同時に大胆でパンチの効いた要素や、劇的に用いられるsans-serifのフォントといった特徴があり、こうしたデザインに対する実験的アプローチは彼自身の教えによって生徒たちに受け継がれ、新たな時代のタイポグラフィ・デザイナーたちに影響を与え続けているのです。
グラフィックデザインは、実際のところ、非常に変化が激しい業界です。常に成長を続け、進化を続けているこの業界は、数え切れないほどの過去と現在のデザイナーの偉業によって成り立っているのでもあります。